6. 早春の大冒険 Spring Break Adventure

作品について

このエピソードは「ヤング・インディ・ジョーンズ・クロニクルズ」の第12話として放映された「1916年 2月 プリンストン」と、第1話として2時間枠で放映された「ジャッカルの呪い」の後半部分(1916年 3月 メキシコ)を組み合わせ、1つのエピソードとして再編集した作品である。コリー・キャリアーがインディ役を演じる「ジャッカルの呪い」の前半部分(1908年 5月 エジプト)は、チャプター1の前半部分として収録されている。

「ジャッカルの呪い」は日本でも1992年初頭に「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」と称したシリーズでテレビ放映されたことがあり、ビデオ、LD-BOX、文庫本が発売されている(いずれも既に絶版)。また、プリンストン編は国内未放映だが、チャプター6として再編集された後の作品がビデオ化されている(国内版は既に絶版)。

当初、「ジャッカルの呪い」は秘宝ジャッカルを巡る8年越しの冒険を描く大作だったが、ストーリーが分断されたことによってチャプター1と6はそれぞれを単独で観ると、前半部と後半部の内容に一貫性のない作品となってしまった。だが、シリーズ全体を通して観た場合、ヤング・インディはエピソード間の伏線が多いシリーズであるため、さほど気にならないのも事実である。ストーリーの一貫性よりタイムラインの連続性を優先したのだろう。

なお、「ジャッカルの呪い」に含まれていた1990年代の老インディのセクションは再編集の際にすべてカットされており、プリンストン編とメキシコ編を繋ぐシーンが新たに追加されている。

ストーリー

1916年 2月 プリンストン Princeton - February 1916

ニュー・ジャージー州、プリンストンの高校に通うインディ青年は、ガールフレンドのナンシー・ストラテマイヤーとダンス・パーティに行く約束をしていた。インディは小説家である彼女の父、エドワード・ストラテマイヤー(後に「ハーディ少年」や「ナンシー・ドルー」シリーズの著者として有名になる)の車、美しいブガティで、彼女を連れて行くことを期待する。しかし、当然のように彼のライバル、ブッチはインディの言うことを信用せず、ブガティを借りることは彼のプライドに関わる問題となった。そのため、インディが放課後にアルバイトをしているソーダ水屋にナンシーが訪れ、車が壊れたと告げられらたとき、インディは意気消沈してしまう。彼女の父は車を修理するためにニューヨークまで行かなければならないと行っており、それではダンス・パーティに間に合わないのだ。インディはさっそくストラテマイヤー氏に会いに行き、車を近所の修理工場に持っていく許可を得る。そこで彼はジェネレーターが破損していると告げられ、結局それを修理できる場所がニューヨークにしかないことを知るのだった。

その夜、インディの家では父が多くの客人を招いて晩餐会を開いていた。その中にはエジソン研究所の研究者の1人、トンプソン博士の姿もあった。彼は自動車に搭載できるバッテリーの研究をしているのだ。この発明が完成すれば自動車にガソリンが不要となり、石油会社は大打撃を受けることになるという。晩餐会の後、インディは博士にブガティのジェネレータを修理できないかと尋ねた。彼はできると言い、翌日、イースト・オレンジにある研究所にインディを招待するのだった。

翌日、インディとナンシーは自転車を持って列車に乗り、イースト・オレンジへと向かった。研究所に到着したインディは、テニスコートの中で爆走する自動車を発見し、目を輝かせる。トンプソは実験室の1つに入り、ジェネレータを助手に渡した。そして、インディがテスト・カーの運転手と話していると、実験室の中から叫び声が聴こえてくる。インディとナンシーが慌てて中に入ると、トンプソン博士が3人の男に拉致され、ワゴン車で連れ去れてしまうのだった。また、犯人たちは助手を殴り倒し、重要な書類を盗んでいった。やがて警察が到着し、担当のフランク・ブレイディ警部が現れる。助手は誘拐犯たちがドイツ語を話していたと証言し、聴いた言葉を繰り返した。警部はその言葉を翻訳し、「急げ、赤ん坊のゲップだ」であると言うが、インディは「赤ん坊」ではなく「鶏」だと主張する。だが、どちらの言葉も意味をなさない。ブレイディはインディたちに家へ帰るよう指示し、ジェネレータも事件が解決するまで証拠品として押収されることになる。するとエジソンが研究所に到着し、被害状況を問いただした。助手は潜水艦探査装置に関する海軍の研究資料と、カー・バッテリーの資料が盗まれたと報告する。エジソンはトンプソンの安否より、盗まれた資料を心配しており、ブレイディに海軍情報部と接触するよう指示するのだった。

インディとナンシーは自転車を押して列車の駅に戻るが、その途中、彼は例のドイツ語が「養鶏場へ急げ」という意味だったことに気づく。ナンシーも行きの列車の窓から養鶏場が見えたことを覚えていた。彼らは自転車に乗ってその養鶏場へと急ぎ、そこで誘拐犯の使っていたワゴン車が藁に覆われているのを発見する。さらに、ナンシーは車のバンパーに石油が付着していることに気づき、車体に貼られたステッカーから「IL」、「CH」、「RY」の文字を書き写した。そして2人は納屋の屋根裏でトンプソン博士が縛られているのを発見し、警察を呼ぶ。博士曰く、犯人たちに協力を強いられ、断れば殺すと脅されたというのだ。また、彼はドイツ人が満潮と干潮のことを話しているのを聞いたと言い、彼らが潜水艦で脱出しようとしているのだと告げる。インディとナンシーは自転車で駅へと向かうが、このとき道路わきで彼らに不審な目を向ける2人の男がいたことに気づいていなかった。

その夜、インディはナンシーの家で夕食を食べながら、彼女の父と誘拐事件について話していた。2人は、ドイツ人がアメリカに上陸した際にどこかでワゴン車を盗んだのだと推理する。そして翌日、ナンシーはドイツ人の上陸地点がベーヨンの石油精製工場付近ではないかと考え、警察に相談するが、まったく相手にされなかった。そこで彼女は自分1人でも現場へ行くとインディに告げる。インディは危険だと警告するが、結局は彼も放課後に仕事をサボってベーヨンの砂浜へと向かい、先に現地に着いていたナンシーと合流するのだった。彼らは草むらに隠れ、潜水艦が現れるのを待ち続ける。やがて海は満潮になったが、ドイツの潜水艦は姿を現さず、その代わりに彼らは銃を持った2人の男を発見する。だが、その直後にそれがブレイディ警部とその部下だということが判明し、結局、砂浜では何の手掛かりも得られないのだった。

その夜、夕食中にインディは真実をひらめいた。彼はナンシーに電話し、この事件がドイツ人の犯行を装ったものではないかと相談する。彼の推理によると、真犯人はカー・バッテリーの実用化によって大打撃を被るであろう石油会社だというのだ。2人は深夜に合流し、精製工場へと忍び込む。そして彼らは研究所の中へ入り、数人の男がエジソンのバッテリーについて話しているところを目撃するのだった。さらに2人はそこで盗まれた資料を発見し、ワゴン車から書き写した文字が石油研究所(oIL researCH laboratoRY)の一部であることを突き止めた。そして彼らは資料を取り戻し、研究所を後にするが、犯人たちに見つかってしまう。彼らは養鶏場にいた2人の不審な男たちに追われる羽目になり、インディはナンシーに資料を渡すと、警察へ行くよう言いつけるのだった。一方、インディは追跡者をうまく出し抜き、桟橋から追っ手の車ごと海へ飛び込んだ。やがて警察が到着し、2人を逮捕する。こうして事件は解決し、ブレイディ警部の計らいによってインディとナンシーは自分たちの手で資料をトンプソンに返すことを許されるのだった。

翌日、インディとナンシーはエジソン研究所を訪れ、事件の全容を説明しながらトンプソンに資料を返却した。しかし、インディが精製工場について何も言及していないときから、トンプソンは資料がどこにあったを知っており、ナンシーは博士に疑いの目を向けるようになる。すると突如、トンプソンは金庫から再び資料を持ち出し、薬品を撒いて研究所から逃走した。真の黒幕はトンプソンだったのだ。彼は試作バッテリー・カーで逃亡し、インディとナンシーが旧式のT型モデルでその後を追う。とても追いつかないことを悟ったインディは近道を抜けようとし、老朽化した立ち入り禁止の橋を渡ったところでなんとかトンプソンを追い詰めるのだった。そこに警察が到着し、ついに博士は降参する。警察がなぜそんな真似をしたのかと問いただすと、彼は、エジソンの発明の多くは自分の功績であり、その対価を求めただけだと説明するのだった。インディとナンシーから資料を返してもらったエジソンは、喜んでブガティのジェネレータを修理してくれた。2人はブガティで格好良くダンス・パーティに到着し、インディはライバルのブッチに恥をかかすことができたのである。

1916年 3月 プリンストン Princeton - March 1916

ナンシーはインディに、春休みに自分の家族と一緒に旅行へ行こうと誘うが、インディは春休みを彼女と一緒に過ごすことはできないと告げる。彼は父と共にニュー・メキシコのアルバカーキにいる親類を訪ねることになっており、彼女に2、3週間で戻ると約束するのだった。こうしてインディとヘンリーは列車で大陸を渡り、やがてニュー・メキシコにあるインディの叔母の家に到着する。彼はそこで従兄弟のフランクと会い、メキシコの売春宿の話を聞かされた。異国の女性に興味を引かれた2人は密かに国境を越える計画を立て、親たちに自分たちだけで数日間のキャンプへ行きたいと相談する。ヘンリーと叔父夫妻は彼らの計画に賛成し、若者たちはメキシコへの冒険へと出発するのだった。

1916年 3月 メキシコ Mexico - March 1916

インディとフランクは「セニョリータ」を求めてヒッチハイクでメキシコ国境へと向かった。やがて2人は小さな町に到着するが、その直後に馬に乗った男たちによる襲撃が開始される。この騒動によって町民に多数の死傷者が出て、銀行や地元の商店が大規模な略奪を受けた。インディもフランクの制止を聞かずに1人で馬に乗って盗賊たちを追跡するが、結局は彼らに捕まってしまう。彼は他の2人の囚人と共にメキシコの古い砦へと連れて行かれ、処刑が開始されることになる。だが、間一髪のところで盗賊団の首領フランシスコ ”パンチョ” ヴィリャが到着し、救われるのだった。この盗賊団はヴィリャの手下たちであり、命令なしで無秩序な行動を行っていたのだ。このときインディはヴィリャの手下の1人であるベルギー人、レミ・ボードワンと知り合い、意気投合する。盗賊団は自分たちを、アメリカからメキシコを解放するために戦っている革命家であると主張していたが、アメリカ軍のパーシング将軍の進攻によって、彼らは南方へと追いやられていたのである。

数日後、ヴィリャはライフルや爆弾などの武器を調達するため、クロウと呼ばれる小悪党と交渉を行った。そしてクロウが去った後、ヴィリャの手下の1人、ジュリオ・カーディナスが、どうやって代金を調達するのかと問いただすと、ヴィリャはシウンダ・グレロの砦だと告げる。そこには連邦政府が届けた50,000ペソの金があるというのだ。そして、クロウも立ち去る途中にその計画を耳に入れていた。また、外にいたインディはクロウのワゴンから武器の積荷を降ろす作業を手伝わされていた。そのとき、彼はクロウがアラビア語を使っているのを耳にし、以前エジプトにいたことがあるのかと訪ねる。だが、クロウは彼を無視するのだった。そして夜になり、インディはヴィリャの手下たちになぜ革命軍に加わったのかと訪ねる。するとヴィリャ自らが、彼らは自分の家族を平和に育て、文化的な生活を送る権利を手にするために戦っているのだと説明した。彼はインディに家に帰るよう告げるが、理想に目覚めたインディは革命軍の一員となって戦うことを決意するのだった。

その翌日、インディはクロウの家から武器を引き揚げる任務についていた。そこで彼は、クロウがかつてエジプトで遭遇したデミトリオス(ネッド・ロレンスの友人であるラシッドを殺害し、黄金のジャッカルを盗んだ人物)と同一人物であることを突き止める。その後、インディがレミの助けを借りて酒場で父に宛てた手紙を書いていると、アメリカ軍の中尉が入ってきた。その男、ジョージ・パットンはカーディナスと決闘を繰り広げるが、カーディナスはパットンの銃によって瞬殺されてしまう。そして、彼は本部に戻ると、ジョン・J・パーシングにヴィリャ一味の動きについて報告するのだった。だが、その内容は既にクロウによってパーシングに密告されていたのである。

数日後、革命軍は列車に乗り込んでシウンダ・グレロの攻撃へと向かった。攻撃は計画通りに行われたが、パーシングの奇襲によって革命軍は撤退を余儀なくされる。そして夜、革命軍がパーシングの軍から隠れているとき、ヴィリャはウィリアム・ランドルフ・ハーストのメキシコ農場への襲撃を決意するのだった。彼はこの攻撃によって、メキシコのカランサ大統領とアメリカのウッドロー・ウィルソン大統領を対立関係に導けると考えたのである。農場はほぼ無人であり、彼らは簡単にそこを制圧することができた。だが、革命軍の戦士たちが食料を略奪していく姿を見たインディは、自分が革命に参加したことに疑問を抱くようになる。そして晩になり、インディは地下で上映される無声映画を革命軍のために翻訳していた。このニュース映画は、世界大戦によってヨーロッパ全土に虐殺の嵐が吹き荒れている様子を伝えるものだった。ベルギー人のレミは祖国の周辺で起こっている事実を目の当たりにして驚愕する。その後、レミはインディに死ぬなら祖国のために戦って死にたいと打ち明け、ヨーロッパに帰ることを決意した。インディも自分の居場所はメキシコではないことに気づき、レミと共に第1次世界大戦に身を投じることを決意する。レミはインディに、夜明けに出発すると念を押した。インディには出発する前にやらなければならないことが残っていたのだ。

インディはジャッカルの頭部を奪回するため、デミトリオスの家へと向かう。彼は中に忍び込み、施錠された棚の中でついにジャッカルを発見した。しかし、彼はデミトリオスに見つかってしまい、両者は激しい殴り合いとなる。戦いの中でインディは全身に油をかぶり、それを見たデミトリオスは家に火を放つのだった。だが、インディはなんとかジャッカルを持ったまま脱出に成功し、一方、デミトリオスはダイナマイトが格納されている地下室へと落ちてしまう。やがて炎がダイナマイトに引火し、デミトリアスもろとも大爆発を起こしたのだった。

ジャッカルの頭部を確保したインディは約束どおり夜明けにレミと合流し、港へと出発する。2人は船に乗り、ヨーロッパの世界大戦へと参加するため、ベラ・クルーズへと向かったのである。

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