22. ハリウッドの愚者たち Hollywood Follies

作品について

このエピソードは「ヤング・インディ・ジョーンズ・クロニクルズ」の第29話として2時間枠で放映された同名のエピソードを再編集した作品である。

本エピソードは日本でも深夜にテレビ放映されたことがあり、その後ビデオ化されている(国内版は既に絶版)。日本語版ビデオのタイトルは「ハリウッドの英雄インディ」だが、あまりにも原題とかけ離れているため、当サイトではテレビ放映時のタイトルである「ハリウッドの愚者たち」を採用した。

なお、再編集に当たって、冒頭部分に前話の続きであることを示すシーンが若干追加されている。

ストーリー

1920年 8月 ハリウッド Hollywood - August 1920

夏休みも残すところあと1ヶ月となったインディは、劇場での仕事をクビになり、ニューヨークで途方に暮れていた。はやく次の仕事を見つけなければ、来年の授業料を払うことができないのだ。すると友人のジョージ・ガーシュインが映画館でインディを見つけ、かつての上司だったホワイト氏がユニバーサル・ピクチャー社でインディにもできそうな仕事を手配してくれることを教えてくれた。インディはさっそくカール・レムリに雇われ、ハリウッドへと向かう。彼の仕事は、そこで映画監督(大物俳優でもある)のエリッヒ・フォン・シュトロハイムと会い、予算が大幅に超過している新作映画「愚かなる妻」をあと10日以内に完成させるか、または撮影そのものを中止させるか、決断を迫るというものだった。インディは事前に300ドルの報酬を得ており、この仕事に成功すればもう300ドルのボーナスをもらうことができるのだ。

ユニバーサル・スタジオに到着したインディは、レムリの義兄弟でもあるイジー・バーンスタイン社長と面会し、レムリからの最後通牒を伝える。インディは映画ビジネスについて勉強中のアービン・サルバーグに連れられ、締め切りを伝えるべくフォン・シュトロハイムに会いに行く。その途中、アービンはインディにスタジオ内を見学させ、映画産業について語るのだった。アービンはインディにシュトロハイムの奇抜さについて警告しようとするが、インディには監督の仕事に対する熱意と自惚れに対処する心の準備ができていなかった。案の定、シュトロハイムは自分の作品に関する決定は自らが下すと言い張り、「使い走りの若造」の言うことなど聞く耳をもたないのだった。

インディはこの映画の脚本家の1人、クレア・リーブラムに紹介された。彼女はインディに、シュトロハイムがいかにしてこの映画に終わりなき追加シーンを足そうとしているかを説明する。そしてインディが、これから撮影が予定されているシーンの多くはカットされるだろうと伝えると、クレアは彼に脚本のコピーを1部手渡し、監督がこれ以上愚かな提案をする前に読んでほしいと告げるのだった。クレアとアービンと共に朝食をとりながら、インディはどのシーンをカットすべきか考えることになる。

次に、アービンはインディにジャック・フォード監督を紹介する。彼はインディに脚本のことは忘れろといい、どこをカットするか決めるのなら、撮影が済んだフィルムを見てからにしろと告げる。やがてプリントを見終えたインディとクレアは海岸へと向かい、夜空を眺めていた。バーンスタインは映画における権力を製作者にシフトさせたいと考えていたが、クレアはインディに、現在では監督こそが映画の王様なのだと教える。この会話のなかで2人の間にはロマンスが芽生えるが、クレアはインディに、既にボーイフレンドがいると告げるのだった。そして、悲しいキスの間、彼女は映画を終わらせる名案を思いついたのである。

翌日、クレアは自分が「愚かなる妻」から降板させられたことを知る。そしてさらに深刻なことに、インディはシュトロハイムがすべてのプリントを自宅へ持ち帰ったことを知るのだった。インディはそれを取り戻すべくシュトロハイムの家へと向かうが、監督はそこで牛の生き血を飲んでおり、フィルムなど知らんと言い張るのだった。その後、アービンがネガを所持していることが分かり、それを使って新しいプリントを焼くことになる。やがて彼らは、映画を終わらせるためにはシュトロハイム扮するキャラクターが死ぬシーンを撮影しなければならないという結論に達した。その作業のなかで、クレアはインディに愛を告白するが、彼女は恋人のトニーにも愛情を抱いているのだった。

翌日、インディは映画を終わらせるために必要なシーンの撮影ができないことを知らされる。イタリアの偉大な俳優、マッシモ王子が他のシーンの撮影のため到着しようとていたのだ。インディはマッシモの到着を阻止するため、彼を誘拐し、メキシコへ追いやろうと考える。インディ、アービン、クレアの3人は王子をさらうため、ダグ・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードの主催するパーティへと向かった。そこで彼らは酔いつぶれた王子にもっと素晴らしいパーティへ案内するといい、彼を国境へと連れて行く。そして、3人はメキシコの酒場に彼を置き去りにし、ハリウッドへと戻るのだった。

翌日、マッシモが姿を見せないことを知ったシュトロハイムは激怒する。彼は自分が死ぬシーンの撮影を避けるべく、別の新しいシーンについて考えを巡らせ、シナリオを書かせるためにクレアを再び雇い入れた。新しいシーンの撮影後、インディはたとえシュトロハイム自身を殺さなければならないとしても、何かしら方法を考えると宣言する。翌日の決闘シーンの撮影中、インディはシュトロハイムの足元にビー玉を転がした。これによってシュトロハイムが撃たれたように見え、映画を終わらせるためのシーンが撮影できるはずだったのだ。しかし、シュトロハイムはその場に立ち続け、逆にエキストラ全員が転倒してしまう。昼食のとき、フォードはインディとクレアに、シュトロハイムを転倒させるには彼にネズミを渡す必要があると告げ、彼の飲み物に睡眠薬を忍ばせたのだった。

セットで再び決闘シーンを撮影していたシュトロハイムは、まだ辛うじて起きていた。だが、彼は次第に大きくふらつき始め、撃たれた後、ついにその場に倒れてしまう。インディは10日という与えられた期日の最後の日に、ようやく映画を終わらせるために必要なシーンを手に入れたのだった。インディがシュトロハイムのもとへと向かって映画の完成を祝福すると、彼はインディの勝利について祝福を返す。そして、シュトロハイムはインディに、アービンとクレアの分を含めた映画の初演式典のチケットを与えてくれたのだった。だが、彼らが式典会場にいたとき、シュトロハイムは映画の続きを撮影するべく、スタッフ全員をメキシコに送り込んでいたのである。

インディはレムリからの電報を受け取り、自分がボーナスなしで解雇されたことを知る。同様にアービンもレムリからの電報を受け取っていたが、その内容は彼をユニバーサル・ピクチャーの社長とし、その最初の仕事としてメキシコでシュトロハイムを押さえつける役を与えるというものだった。

気がつくと、インディはハリウッドで金も職もなく途方に暮れていた。だが、彼はジョン・フォードの次回作となる西部映画「地獄への六歩」で、彼の助手の仕事を与えられる。このときフォードは、自分の本名がシーン・アルーシャス・オフィーニィであること、そして初めてアメリカに渡ったとき、最初にその名を改名させたのが兄フランシス・フォードだったことをインディに告げる。また、フォードは彼に大物俳優のハリー・キャリーを紹介し、フォードとハリーが与えられたひどい脚本を書き直している間、インディはその内容をメモにとるのだった。そして、フォードは映画に関する相談をワイアット・アープに求め、彼を連れ戻すためにインディを酒場へ送る。だが、ワイアット・アープはインディ、フォード、キャリーを前に、架空の物語とは対照的な真の決闘について話すのだった。

フォードとキャリーが書いた脚本をタイプし終えると、インディはクレアに会いに行く。彼女はインディに再び、まだトニーへの想いが残ってることを伝えるが、今後2週間の間にインディとの関係がうまく運べば、トニーとの関係を解消するとを決意していた。しかしその翌日、彼はすべての期間がロケ撮影に費やされるため、クレアと会うことはできないと気づく。インディは出発する前にそのことを伝えるためクレアを尋ねるが、彼女がトニーと一緒にいるところを目撃するのだった。

クルー全員が出発するが、その途中、最初に夕日の前でのラスト・シーンを撮影するため、一行は立ち止まる。その夜、ワイアット・アープがクルーに西部時代の古い話を聞かせているとき、インディはクレア宛ての手紙を書いていた。そして、彼はクレアとどうするべきなのか、クルーに相談することになる。大方の意見は、彼女がトニーと別れることはないので、諦めるべきだというものだった。翌日、撮影中に小さな地震があり、撮影に使っていた家の中から火の気が上がる。だが、フォードは撮影を続け、燃える建物を利用した新しいシーンを即興で作り始めるのだった。

その後数日にわたって撮影は問題なく進められたが、主演俳優の1人が睡眠中に毒蛇にかまれて死亡するというアクシデントが発生する。フォードは亡くなった俳優の役をインディに引き継がせようとするが、彼は役者としての能力不足をすぐに露呈させてしまうのだった。インディはその後数日の撮影で上達するが、フォードはスケジュールが1日遅れていることと、スタントマンが全員セットで怪我をしたため不在あることに頭を悩ませる。そこには、インディからの手紙を読んだクレアも駆けつけていた。そして撮影最終日、フォードは最後のシーンを撮影するため、インディをスタントマンとして使うことを決心する。そのシーンは暴れ馬のシーンだが、インディはボーナスと引き換えにこれを承諾し、馬からワゴンに飛び移るという危険なアクションを演じるのだった。だが彼は失敗してワゴンの下に落下し、自分自身を前方に引っ張りながら、仰向けになって引きずられてしまう。彼は手綱を掴んでなんとか馬を止め、断崖から落ちるのを防いだのだった。

こうして映画は完成し、インディはクレアと他の仲間たちに別れる告げると、シカゴ大学へと戻ってくる。彼は授業料を払うのに十分な金を持っており、おまけに骨折した足を引きずっているのだった。

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