このエピソードは「ヤング・インディ・ジョーンズ・クロニクルズ」の第10話として放映された「1917年 5月 バルセロナ」と、第26話として放映された「1917年 8月 プラハ」を組み合わせ、1つのエピソードとして再編集した作品である。シリーズ再編後は基本的にタイムラインに沿った順番でチャプター番号が振られているが、チャプター13と14は例外であり、当初発表されていたタイムラインでは13の前半(オーストリア編)、14の前半(バルセロナ編)、13の後半(ペトログラード編)、14の後半(プラハ編)の順となっている。しかし、チャプター13のオーストリア編とペトログラード編が再編集の際の追加シーンによってスムーズに繋がっているため、間にバルセロナ編の入り込む余地がなく、時代設定に矛盾が生じてしまっている。劇中には何年何月かを表す描写が一切ないため、時代設定が変更されたと考えるべきだろう(これはチャプター16、17 などでも同様のことが起こっている)。
バルセロナ編は日本でも1992年初頭に「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」と称したシリーズでテレビ放映されたことがあり、ビデオ、LD-BOX、文庫本が発売されている(いずれも既に絶版)。だが、プラハ編および再編集によってチャプター14となった後の作品は海外でテレビ放映されたのみであり(プラハ編はアメリカでも未放映)、現在でもビデオ化はされていない。
なお、バルセロナ編に含まれていた1990年代の老インディのセクションは再編集の際にすべてカットされている。
連合軍の諜報員としてスペインのバルセロナに配属されたインディは、さっそく喫茶店で新しい同僚たちと面会する。彼の仲間は、イタリア人のマルチェロ、フランス人のサウル、そしてイギリス人のカニンガムだった。3人は、現在取り掛かっている任務が中立国であるスペインに影響を与えるものであり、その結果、連合軍をこの戦争で有利な方向へ導くことになるのだと説明する。一方、彼らと敵対するドイツは、ドイツ文化大使としてスペインに駐在しているシュミット大佐の指揮下にあった。3人は偽装工作のため、インディにこの街のどこかで仕事を見つけるよう指示するのだった。
職を探して街をぶらついていたインディは、エル・バレエ・ルソーの宣伝ポスターに、舞台装飾係として昔馴染みのパブロ・ピカソの名前が載っているのを見つける。彼はさっそく劇場へと向かい、最初にノーマン・ロックウェルと間違えられこそしたが、ピカソとの再会を喜んだ。ピカソはインディをバレエ団の団長セルゲイ・ディアギレフに紹介する。ディアギレフはインディにズボンを脱ぐよう言いつけ、足を眺めると、彼に仕事を持ちかけるのだった。だが、それはシェエラザードの上演で宦官を演じるというバレエ・ダンサーの仕事だったのだ。
インディは理髪店の地下にある本部へ戻り、3人の同僚に別の仕事を探したいと告げるが、彼らはバレエ団に留まるべきだと主張する。シュミットは主演バレリーナに恋しており、彼らにとってこれ以上好都合な職はないのだ。翌日、インディはさっそく主演バレリーナのナディアと接触する。同様に、シュミットもナディアを求めて現れるが、彼女が割って入るまで、シュミットはピカソと2、3の会話を交わすことになるのだった。
その晩、インディはカニンガムと共にボートの動きを監視するため、港にいた。カニンガムはインディにドイツ軍の潜水艦の動きを記録することがいかに重要かを力説するが、インディには機関車のナンバー・プレート収集のような趣味にしか思えなかった。また、カニンガムはインディのこれまでの成果について祝福するが、シュミットが公爵夫人や他の王族に恋していなかったことに失望する。もしそうなっていれば、大スキャンダルをもたらすことができるのだ。そこでインディは、シュミットが貴婦人と不倫しているように見せかける作戦を提案する。仲間たちはさっそくインディにその計画を着手させたのだった。
翌日の練習の最中、インディはシュミットがナディアに宛てて書いたラブレターを盗むため、彼女の更衣室に忍び込む。彼はナディアの衣装係に見つかるが、彼女は高齢で耳が遠く、インディの言い分もまったく通じなかった。結局、彼はナディアに捕まるが、お世辞を使ってなんとかトラブルを避け、その代償としてデートでランチをおごらされる羽目になる。だが、彼はナディアの鼻先からシュミットの手紙を1通盗み出すことに成功していた。彼はそれを本部に持ち帰り、マルチェロが宛先をトレド伯爵夫人に改ざんしたものを偽造する。彼らの計画は、シュミットがトレド夫人に心酔しているという状況を作り出し、それを伯爵に気づかせることでスキャンダルを演出するというものだった。
翌日、インディは約束のランチに誘うためナディアを呼び止める。彼女はインディが盗んだ手紙をこっそりと元の場所に戻したことを知っていたが、彼が食べるまで何も言わなかった。そしてインディが大佐に嫉妬して手紙を読んだのだと言い訳すると、彼女は心を惑わし、話題を変えるのだった。その後、シュミットに変装したマルチェロが伯爵夫人を呼び止め、道を尋ねる。彼は感謝の証として、伯爵のお抱え運転手にわざと見えるように、夫人の手にキスをした。その後、運転手は伯爵を迎えに行くが、サウルとカニンガムの仕組んだ芝居によって車を止めることになる。インディはその隙に車中に忍び込み、手紙を置いて出るつもりが、誤って閉じ込められてしまった。だが、彼はなんとか見つからずに脱出し、手紙を見つけた伯爵を激怒させることに成功したのである。
その晩、ナディアは例の手紙になぞられた跡があることを発見する。インディはナディアに会いに行くが、彼女はそれを拒絶するのだった。インディは彼女が計画を知り、シュミットに事実を伝えるメッセージを送ったことに気づく。だが、彼は急いでバレエの舞台に出なければならないため、他の3人にそれを伝えることができなかった。そのころ、マルチェロ、サウル、カニンガムは、プライベート・バルコニーの1つに座っていた。彼らは伯爵夫人からの気持ちだと偽って、シュミットのボックス宛てに伝言を送る。シュミットが返礼として伯爵夫妻のバルコミーに向けて挨拶すると、それに気づいた伯爵は再び激怒した。一方、ステージ上のナディアは、メッセージを持たせた衣装係の老婆が間違ったバルコニーへ向かっていることに気づく。彼女は必死に合図するが、老婆には届かなかった。そして、インディも老婆とナディアからのメッセージを取り押さえるよう、3人への合図を試みる。そのとき3人は別の偽装メッセージをシュミットに送っており、彼はその返礼でさらに伯爵を激怒させたのだった。
インディはスポットライトの光を腰につけた宝石で反射させ、3人にモールス信号で合図を送ることに成功する。バレエ・ルソーの最中だったため、インディの激しい腰振りもショーの一部であると解釈され、観衆は全員起立して大きな拍手を送ったのだった。一方、3人は老婆の行く手を遮ることに失敗するが、結果的に彼女は別のボックスにメッセージを届けてしまう。こうしてバレエは無事に終わり、怒り狂った伯爵はシュミットに対して決闘を申し込むのだった。シュミットが勝てばドイツはスペインを敵に回すことになり、逆に伯爵が勝てばドイツは腕利きのスパイを失うことになる。ナディアはシュミットにこれが罠であることを警告しようとするが、インディに取り押さえられ、ロープで縛られた挙句、クローゼットの中に閉じ込められてしまう。その後、インディは作戦の成功を仲間たちに伝え、4人は有頂天になるのだった。
1時間後、インディはナディアをクローゼットから解放し、すべてを打ち明ける。だが彼女は、シュミットがアメリカ軍の2重スパイであり、彼女がその連絡役だという衝撃的な事実を暴露するのだった。インディは彼女を連れて本部に戻ると、その情報の確認を急ぐ。ようやく事実が明らかになったのは、まもなく決闘が始まろうかというときのことだった。マルチェロ、サウル、カニンガムは決闘を中止させるための様々な方法を考えるが、ナディアは事実を告げるしかないと主張する。彼らは証拠となるマルチェロが偽造したラブレターを手に入れるため、劇場へと向かった。彼らはナディアの更衣室を探すが手紙は見つからず、ようやく地下室で燃やされる直前に取り押さえることに成功する。そして、彼らは全速力で闘牛場へ向かい、まさに弾丸が放たれようとしたそのときに、決闘を止めることができた。スパイたちは迅速に事情を説明し、決闘は取り消される。結局、4人の諜報活動は振り出しに戻ったのだった。
革命後、インディはロシアから呼び戻されていた。彼は諜報部の仲間たちと会い、現地での傑出した活躍によって、自分がフランス情報局のクルーゾー大佐の配下に転属となったことを告げられる。インディは連絡役と接触し、任務の詳細を掴むためにアムステルダムへと向かうのだった。
盲人を装った連絡役は、インディにオーストリア・ハンガリー帝国の中心地プラハに行けと伝える。そこには滞在用のアパートも用意してあり、3日以内に掛かってくるであろう2重スパイからの電話を待てと言うのだ。また、彼はその電話が戦争を終わらせるために極めて重要な役割を果たすということも聞かされるのだった。
インディはアマデウス・シューベルグルーバーという名の女性用下着セールスマンを装い、プラハへと向かう。プラハに到着したインディは露天商に扮したクルーゾーと接触し、電話を待つことになっているアパートの鍵を受け取った。だが、インディはアパート着くとすぐに眠り込み、翌朝になって当局の手でアパートの電話が取り外されていることに気づくのだった。彼は電話を設置するため、電話省へ行くよう指示される。インディは電話省であちこちの部署をたらいまわしにされた挙句、電話が盗まれたことを報告する必要があると告げられ、新しい電話を設置するために4箇所の異なる場所から4つの異なるスタンプをもらう必要のある申請書を渡されるのだった。だが、1つめのスタンプをもらった後、用紙が風にさらわれて窓の外へと飛んでいってしまい、インディは命がけの追跡を行うことになる。
ようやく用紙を取り戻したインディは、必要となる4つのスタンプの2つめをもらうため警察署に向かった。警察署に到着したインディは、2つの異なる言語で2回書き込まなければならない、妙に長い用紙を渡される。その後、インディは尋問室に連れて行かれ、彼は警察に自分がスパイであることを気づかれたのではないかと不安を抱くのだった。警察は彼を尋問し、白状しろと迫る。だが、インディには何を白状すればいいのかさえ分からなかった。彼は電話が無くなったことを報告しに来ただけだと訴えるが、結局裁判に掛けられて有罪となり、刑務所に閉じ込められてしまう。翌朝、彼は守衛に自分が投獄されているのは何かの間違いだと訴えると、記入欄のある用紙を渡された。彼は用紙に記入した後に釈放され、スタンプが押された元の用紙を渡されたのだった。
インディは次のスタンプをもらうため保険省へ行くが、そこではまず27Aという用紙に記入しなければならないということを聞かされただけだった。インディはその用紙を求めてさらに4つの部署を巡ることになり、挙句にフランツ・カフカから、27Aの用紙は27Bの用紙に変更になったとを知らされる。インディはついに爆発し、これまで被った災難のすべてをカフカにぶちまけると、電話をよこすよう要求する。だが、結局は自分が間違ったオフィスにいることが分かっただけだった。カフカはインディが正しい用紙を手に入れられるよう手助けをすることになる。
2人は用紙の入ったキャビネットを見つけるが、それには鍵が掛かっており、しかもその鍵は紛失されていた。彼らはビルの管理人なら開けられるだろうと期待し、重いキャビネットを地下室まで運ぼうとする。だが、結局はらせん階段からキャビネットを放り投げることになり、その過程でビルの半分が崩壊してしまうのだった。しかし、キャビネットも粉砕されており、インディはようやく27Bの用紙を手に入れ、元の用紙にも3つめのスタンプを押してもらうことができたのである。
インディは電話省に戻って最後のスタンプをもらい、翌朝には電話が繋がるだろうと告げられる。しかし、電話本体は設置されたが、作業員は接続部門から数週間後に電話を繋ぐ担当者が来るというのだ。最終的にインディは3階の窓から外にぶら下がることでなんとか電話を繋ぎ、2重スパイからの連絡を受けて任務を聞くことができた。だがその内容は、ベルリンへ行って電話を使えるようにせよというものだったのだ。