このエピソードは「ヤング・インディ・ジョーンズ・クロニクルズ」の第19話として放映された「1908年 9月 パリ」と、第3話として放映された「1909年 9月 英領東アフリカ」を組み合わせ、1つのエピソードとして再編集した作品である。シリーズ再編後は基本的にタイムラインに沿った順番でチャプター番号が振られているが、チャプター2と3は例外であり、正式なタイムラインは3の前半(フィレンツェ編)、2の前半(パリ編)、3の後半(ウィーン編)、2の後半(英領東アフリカ編)の順となっている。ただし、劇中には何年何月かを表す描写が一切ないため、時代設定が変更されている可能性もある。
英領東アフリカ編は日本でも1992年初頭に「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」と称したシリーズでテレビ放映されたことがあり、ビデオ、LD-BOX、文庫本が発売されている(いずれも既に絶版)。だが、パリ編および再編集によってチャプター2となった後の作品は海外でテレビ放映されたのみであり、現在でもビデオ化はされていない。
なお、パリ編と英領東アフリカ編にそれぞれ含まれていた1990年代の老インディのセクションは再編集の際にすべてカットされている。
シーモアはインディ少年に「芸術の都」パリを案内していた。そしてルーブル美術館を見学していたとき、彼らはもう1人の少年、当時14歳のノーマン・ロックウェルと遭遇する。彼らはエドガー・ドガによる絵画を鑑賞していたが、インディには印象派の良さがまだ理解できていなかった。その後、シーモアは2人の少年を人形劇へ連れて行くが、少年たちはどちらも鑑賞しようとしない。シーモアが手紙を書くのでホテルに戻ると言うと、2人は別のものを見たいと訴え、なんとか彼女を引き止めようとする。だが、シーモアはホテルに戻り、彼らも1時間後に戻ると約束したのだった。その代わり、ノーマンはインディを真の芸術が見られるところへ連れて行くと請け負ったのである。
2人の少年はいくらか評判の悪そうな居酒屋へと向かう。そこは今まさに、ドガ、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックといった著名な芸術家たちが、立体派について激論を交わしているところだった。ドガはピカソの作品を批評するが、彼の作品を気に入っておらず、破壊的であるとまで言い放つ。一方のピカソも、芸術家は物を見る新しい方法を必要としているのだと反論するのだった。それに対してドガは、このような新手の絵画を続ければ、今までのキャリアを台無しにすることになると警告する。しかしピカソは、ドガのすることくらい寝ていてもできると豪語し、彼の警告を一蹴するのだった。するとノーマンが口を挟み、ドガのような絵は誰にも描けないと言って彼を擁護したのである。
ピカソは自らのクレームの正当性を示すため、ノーマンとインディを自分のアパートに招待した。そこでピカソはモデルにポーズを取らせ、パステル調の作品を描き出す。その間、彼は少年たちにドガの技法について説明していた。やがて作品が完成すると、彼は絵をわきに置き、今度は記憶を頼りにドガの技法で絵を描きはじめる。ピカソの助手はノーマンに、立体派の手法を取り入れたピカソの初期の実験的作品を示した。ノーマンはノートにそれらをスケッチする。だが、助手がいくら絵を表現したところで、それは著名な画家の作品ではなく、ただの絵画なのだ。そうしている間にピカソは絵を仕上げるが、それはまるでドガの作品のように見えた。また、ピカソはノーマンのスケッチブックにある作品を見て、それに自分の署名を入れたのだった。
そのころ、インディが時間になっても戻らず、行方も分からなくなったため、シーモアはホテルで発狂しかけていた。彼女は警察にも連絡したが、担当の警視正のいい加減さに信頼を置くことができなかったのだ。一方、ピカソはどこかで何かを食べようと考え、少年たちを連れてレストランへと向かうが、その途中、2人の売春婦を招き入れるのだった。また、インディはホテルに帰らなければならないと考えるが、ノーマンは彼に留まるよう説得する。そして、ピカソは2人の売春婦をノーマンとインディと共に踊らせ、その間にいかにして自分の絵にドガの署名をもらおうかと考えていた。しかしその直後、売春婦たちの斡旋業者が現れ、ピカソに襲い掛かる。突如として喧嘩が始まるが、ピカソと助手、インディ、ノーマンは、なんとかその場を逃れることができたのだった。
その後、インディはピカソの助けを借り、シーモアに見せるためのレオナルド・ダビンチに関する論文を書いていた。また、彼らはピカソの新しいスタイルについて意見を交わし合い、ピカソがいかにしてある形態に魂を与えようとしているかについて話し合う。やがて彼らは夜に別れたが、その前にピカソはインディとノーマンを翌晩開かれるパーティに誘うのだった。2人の少年はホテルへと歩いて戻るが、その途中、先ほどの2人の売春斡旋業者に話しかけられ、墓場まで追跡される。だが、2人の少年は古いシーツと仮面を使って幽霊を装い、斡旋業者たちを脅して追い払うことに成功するのだった。ようやくホテルに戻ったインディは、シーモアに気づかれないよう部屋に忍び込み、ワードローブの中に身を隠す。翌朝、彼はシーモアに発見されるが、宿題の論文を書く間ずっとワードローブの中におり、その間に寝てしまったのだと言い訳する。だが、シーモアは疑っており、その夜はインディを彼の部屋に閉じ込めてから床に就くのだった。何とか抜け出したいインディは窓から外に出て屋根へと登るが、掴んでいた排水路が折れてしまい、危うく死に掛ける。彼は慎重にそれを元に戻し、パーティ会場の外でノーマンと合流することができたのだった。
2人はパーティ会場に入り、参加者全員が仮装していることを知る。また、彼らはそこでピカソの立体派作品を扱いたいと考えている画商、ケント・ワイラーと出会い、さらにガートルード・シュタイン、アリス・B・トンクリンにも紹介されるのだった。ピカソはもう1人の画家ヘンリー・ルソーと会話をしており、彼に怪談を話すよう説得する。そして、彼の怪談がクライマックスに差し掛かったとき、会場にシーモアが入ってきた。彼女は部屋で目を覚まし、インディがいないことに気づいたが、彼が行く先をメモに残していため、ここにたどり着いたのである。ピカソは銃を引き抜き、シーモアを別室に追い立てると、そこでシーモアのスケッチを描きはじめた。彼女はピカソが描いたような伝統的な肖像画を好んでいたが、同じように彼が描いた立体派の要素が込められた作品にもすっかり魅了されてしまう。また、シーモアにはピカソが描いたドガの贋作も示された。それを見たワイラーは、贋作とも知らずに1,000フランで買い取りたいと申し出る。もちろん、ピカソは気が進まず、この作品にはドガの署名がないと説明するが、ワイラーは、ならば本人に署名してもらえばいいと話すのだった。
喫茶店でドガと会ったワイラーは彼に絵を見せるが、視力が悪くなっていたドガはそれを自分の絵であると信じ込み、署名してしまう。それを聞いて喜んだのはピカソだった。ピカソはその絵がドガの作品ではなく、自分の描いたものであることを皆に公表し、ワイラーを激怒させることになる。ノーマンとインディも、ピカソがドガを利用したトリックは卑怯であると考えていたが、ワイラーの不満を否定した。ノーマンは、これはドガの絵のように見え、ドガの署名も入っている、したがってこれはドガの絵なのだと主張したのだ。また、インディはワイラーにノーマンの描いた立体派スケッチを1,000フランで売却し、ピカソを激怒させる。だが、インディはその金をノーマンとピカソで山分けさせるのだった。そして彼はピカソに、ノーマンはおそらくパリに留まり、ピカソの代理人になるだろうと語ったのである。
ジョーンズ一家はヘンリー教授のかつてのルームメイトの1人、リチャード・メルディコットからの招待を受け、ナイロビ近郊の英領東アフリカにあるコーヒー栽培場に到着した。彼らはそこで、スミソニアン博物館からの依頼で珍しい動物の標本を収集している前大統領セオドア・ルーズベルトと、アフリカで最高のハンターとされるフレデリック・ズルーから、サファリへ行こうと勧められたのだ。狩猟地区への旅の途中、若きインディは美しい野生の光景とそこに棲む威厳ある動物たちの姿に魅了される。そしてキャンプ地に到着すると、彼はさっそく荷物を解き、有名なホストに会うことを切望するのだった。だが、インディはルーズベルトが日暮れまで帰らないと聞き、大きく失望する。その間、メルディコットは剥製師のヘラーや遠征チームの他のメンバーにインディを紹介し、彼をキャンプへと案内した。そして1人残されたインディはキャンプの周辺を歩き回り、探検の途中、自分とほぼ同じくらいの年齢のアフリカ人少年が羊番をしているのを見かける。インディは少年に近づこうとするが、その前にキャンプから呼び戻されてしまうのだった。
インディはホストのテディ・ルーズベルトの到着を一目見るため時間通りにキャンプに戻り、深い感動を覚えることになる。そしてその晩、ルーズベルトとその仲間たちは、バートンの房状の耳を持つオリックスの消息について物議を交わしていた。通常、この動物はこのエリアに豊富に生息しているはずだが、誰もその姿を見ていないのだ。ルーズベルトは博物館にオリックスの標本をいくつか寄贈したいと考えているため、当惑するのだった。その翌日、ルーズベルトはインディにライフルの撃ち方を教える。また、彼は周囲の景色を探索するためインディに双眼鏡を与えると、再び狩りへと出かけていった。そして午後になって、シーモアがインディにアフリカの野生動物について教えていると、彼はルーズベルトのために必ずオリックスを見つけると心に誓うのだった。
キャンプ周辺を探索していたインディは、昨日出会った部族の少年と再び遭遇した。このとき彼は基本的な手話で「インディ」であると自己紹介し、少年もメトと自己紹介する。インディはメトと草原を探索し、彼の部族の言葉を学びながら午後の残りの時間を費やすのだった。そして晩になると、インディはルーズベルトと議論を交わしていた。インディは狩猟隊がこれまでに殺害した動物たちの数に心を痛めていたが、ルーズベルトはインディに、動物たちが博物館に届けられることで人々は自然をより理解できるようになるのだと説明する。そして夕食後、チェッカーのゲームをしているとき、インディはルーズベルトにオリックスの発見を手伝うと約束するのだった。だが、2人の会話は銃声によって中断されてしまう。狩猟チームの1人がキャンプの外を徘徊していたライオンを仕留めたのだ。大人たちが互いに祝福し合う一方で、インディはさらに心を痛めることになる。
翌日、早起きしたインディはオリックス捜しの手助けを求めるため、メトに会いに行く。キャンプに戻っても誰にも気づかれず、探索が開始された。メトが彼を部族の長老たちのところへ連れて行くと、長老たちは砂に絵を描き、オリックスの運命について話し始める。そしてインディはキャンプへと戻った。やがて夜が更け、闇から聴こえる動物たちの鳴き声がますます恐ろしくなっていたとき、インディは草原を横断していた。しかし、彼は見張りの1人によって見つかってしまう。キャンプに戻されたインディはひどく叱られ、弁明の機会さえ与えてもらえないのだった。
翌朝、メトがキャンプを訪れ、彼とインディはみんなが寝ている間に外へ出て行った。メトはオリックスのいる場所へとインディを案内し、その後、インディは朝食前にこっそりとキャンプに戻ってくる。そして朝食のとき、インディは自分がメトと共にオリックスの小さな群れを発見したことを発表すると、続けて村の長老から聞いた話をルーズベルトに話し始めるのだった。オリックスの主食は土カボチャである。だが、最近発生した大きな火災によってこの近辺の蛇の大半が死んでしまい、蛇たちの食料源だったモグラネズミが大幅に数を増やすことになる。そして、天敵のいなくなったモグラネズミは地下に潜り、地下の食料源である土カボチャを食べるようになったのだ。その結果、土カボチャの地下茎がほとんどなくなってしまい、オリックスは食料を求めて他の場所へと移動を強いられたのである。
インディはルーズベルトと狩猟隊を、オリックスが草を食べている場所へと連れて行く。そして狩猟隊が2頭を仕留めると、インディはハンターたちの前に割って入り、もう十分だと叫ぶのだった。ルーズベルトも彼に同意する。前大統領は、オリックスが希少動物であること、そしてオリックスが他のどんな動物と密接に関わっているかを知らないことを認めたのだ。彼らの仕事は終わり、狩猟隊は荷物をまとめると、文明社会へと帰っていく。インディはメトに別れを告げ、友情の証としてルーズベルトからもらった双眼鏡を彼に手渡すのだった。