このエピソードは「ヤング・インディ・ジョーンズ・クロニクルズ」の第11話として2時間枠で放映された同名のエピソードを再編集した作品である。ただし、当初イギリスで放映されたときは「1920年 4月 シカゴ」、「1920年 5月 シカゴ」として2つに分けられており、その後アメリカで放映された際に2時間枠の作品として1本にまとめられた。
本エピソードは海外でテレビ放映されたのみだが、その後ビデオ化されている(国内版は既に絶版)。
本エピソードは劇中にハリソン・フォードが1950年代のインディを演じているシーンがあることで話題になった。だが、分けて放映されたバージョンにはハリソン・フォードの登場シーンはなく、それぞれに1990年代の老インディのセクションが含まれている。なお、再編集版ではハリソン・フォードの登場する2時間バージョンが採用されており、老インディのセクションはすべてカットされている。
インディと老アメリカ・インディアンの友人グレート・クラウドがトラックで雪に覆われたワイオミングの道路を下っていると、突如銃を持った男たちを満載させた別の車が現れ、彼らに向かって発砲してきた。2人はグレート・クラウドの部族から盗まれたパイプを取り戻してきたところであり、追跡者はそれを再び奪回しようとしていたのだ。追跡者たちの車は雪にタイヤを奪われ横転するが、インディたちのトラックもその少し先で大破してしまう。2人は雪がトラックを覆い隠してくれることを祈りながら徒歩で出発した。しばらくして、彼らは見捨てられた山小屋を発見し、暖をとるため中で火をつける。インディはそこで古いソプラノ・サックスを見つけ、1920年の春、シカゴ大学の学生だったころの記憶を蘇らせるのだった。彼はグレート・クラウドに、かつて自分がサックスでブルースの演奏を学んでいたときのことを語り始める。
インディは大学に通う傍ら、シカゴで一番の食事とジャズを提供するコロシモのレストランでウエイターとして働いていた。インディはジャズを愛していたが、彼の賞賛はレストランのバンド・リーダー、シドニー・ベシェから評価されていなかった。一方、学校でも彼はルームメイトのエリオット・ネスとうまくいっていなかった。
ある晩、インディは金欠に苦しむエリオットを説得し、ジャズ・クラブ「ロイヤル・ガーデン」へと誘い出す。そのクラブでは、シドニーのバンドがゴールディ・ウィリアムズという名の歌手を迎えてジャズ演奏を行っているのだ。エリオットは禁酒法によって禁じられているジンを飲まされ、混乱する。彼は店を出ようとするが、別の客につっかかってしまい、それをきっかけに店内は大混乱に陥った。結局、彼とインディは店から追い出されてしまう。
翌晩、インディは職場で昨夜の騒動についてシドニーに謝罪するが、自分がいかにジャズを愛しているかをくどくどと喋り続けることになる。シドニーが楽器の演奏経験をたずねると、インディは戦争中に少々ソプラノ・サックスを演奏したこことがあると答えた。シドニーはソプラノ・ソックスを取り出すと、練習用にとインディにそれを手渡すのだった。そして仕事が終わると、インディはバンドに従い、もぐり酒場「ザ・フォー・デュース」で演奏を開始する。その後数週間にわたって、彼は暇さえあればサックスを演奏し、エリオットを激怒させるのだった。
ある日の午後、エリオットはインディをフットボールの祝勝会に誘い、大学の仲間の家へと向かう。インディはサックスを携えていた。すると、エリットが想いを寄せるチアリーダーがインディのサックスに目を留め、演奏中のバンドと男声四重唱団に加わってほしいと頼みだす。だが、即興で「エイプリル・シャワー」を演じたインディは、パーティから追い出されてしまった。彼ら曰く、ジャズは売春宿の音楽であり、そんなものは尊敬されないというのだ。
仕事中、インディはシドニーを騙し、フォー・デュースで彼らの歌にあわせてシドニーに演奏を行わせる。だが、インディの期待通りにことは運ばなかった。シドニーは、彼にジャズに関するいくつかの助言を与える。走るより先に、歩くことを学ばなければならないと。また、彼はとにもかくにも、「きらきら星」を学べとインディに指示したのだった。
ある日曜日、インディはシドニーと共に黒人たちの集まる教会へと向かう。なかには白人であるインディがいることを快く思わない教区民たちもいた。その後、2人は夕食のためゴールディの家へ行き、インディはゴールディから彼女の兄C.J.が戦争に参加していることを聞くと、軍隊での生活について冗談を交し合うのだった。だが、C.J.がアメリカにおける黒人差別について不満を漏らしたことで、討論は重大な変化を迎える。この議論は彼らの父を交え、公民権の獲得方法へと発展したのだった。数日後、インディ、シドニー、ゴールディ、C.J.は、再び変革について話し合うことになる。
数週間後、インディはサックスの練習を続け、ますます腕を上げていった。ある晩、仕事中に彼の演奏を聴きつけたシドニーは、その上達振りに感心する。仕事が終わると、彼らはゴールディの歌を聴くため、ゴールデン・パレスへと向かった。シドニーはバンドと共に演奏しながらインディをステージ上に招き、彼らは「きらきら星」の弾けたバージョンを激しく演奏し始めるのだった。
ある夜の仕事中、”ビッグ・ジム” コロシモは、バンドでボーカルを務める若い新妻デイル・ウィンターズを紹介する。その後、インディはフォー・デュースでコロシモがもぐり酒場を所有していることを聞かされた。だが、彼のバンドはブルースを演奏しようとしていたため、シドニーはインディを制止する。彼はインディにジャズとブルースの違いを説明するのだった。
翌日、レストランの開店準備中に、入り口でコロシモが射殺されるという事件が発生する。目撃者は誰もいなかったが、狙撃の数分前にウエイターの1人が客を1人追い払っていたことが分かった。インディはコロシモの指輪が無くなっていること、そしてレポーターや警官がレストランの至るところに張り込んでいることに気づいた。ついでコロシモの甥、ジョニー・トーリオが到着し、200,000ドルの入ったコロシモのマネーベルトが消えていることを発見する。警察のギャリティ警部はコロシモの個人的な友人であり、犯人を必ず捕まえると誓う。また、レポーターの1人はインディの戦争中の友人であり、現在はシカゴ・トリビューン紙のフリー記者として働いているアーネスト・ヘミングウェイだった。
彼らはインディの寮部屋に戻り、事件について話し合う。エリオットもその話に関心を示していた。コロシモの前妻は彼から酒の密造法について学び、その後、さらに金儲けができる売春宿に入ったとされている。コロシモは財産を築くと妻を捨て、デイル・ウィンターズと親しくなった。アーネットはあらゆるゴシップに興奮するが、エリオットは動機、殺害方法、アリバイなどを調べ、手続きどおりに解決すべきだと提案する。彼らの最初の行動は、参列者を調べるため葬儀に出席することだった。棺が通りを経て厳粛に見送られるなか、彼らは顔に醜い傷を負ったフォー・デュースのバーテンダー、”ビッグ・アル” ブラウンと遭遇する。参列する賓客の中には、ビル・トンプソン市長や、数人の裁判官と下院議員の姿もあった。だが、インディはレセプションを開催する仕事があるため、葬儀の列を離れなければならない。アーネストは調査したい項目をいくつか指示する。そして、エリオットは死体公示所に友人がいるため、変わったことがないかと尋ねに向かうのだった。
レストランにコロシモの前妻が到着するや、彼女はデイルに向かって叫びだし、大騒ぎとなる。やがて彼女は泣きながらレストランを飛び出していった。検死官と会ったエリオットは、コロシモが後頭部を撃たれていること、そしておそらくは彼が玄関の覗き穴に気を取られていたときの犯行であることを知る。アーネットはレポーター数人を連れて警察署に取材に行くが、何も得るものはなかった。彼らはソーダ水売り場で落ち合い、昼食と情報交換を行う。だが、彼らの集めた情報はすべて、証拠と呼ぶには乏しい推測でしかなかった。彼らはコロシモが誰かを待っていたのだと考え、殺人犯はそのことを知っていた人物であると結論付ける。犯人が待っていた人物を突き止めれば、事件解決に大きく近づくのだ。インディは客を追い払ったウエイターに事情を聞くと約束する。そしてアーネットはトリビューンの死体公示所で調査を続け、同時にニューヨーク・タイムズで情報提供を呼びかけるのだった。
その夜のフォー・デュースでも、インディは殺人事件のことが頭から離れず、バンドの練習にも集中できずにいた。シドニーは彼に、レストランやその他の関連事業はコロシモの甥トーリオが引き継ぐことになるだろうと告げる。また、彼はコロシモが密造酒の出荷を待っていたことを教えてくれた。インディはさっそくアーネットとエリオットと会い、レストランでコロシモが酒を売った相手を突き止めることを確認する。レストランに忍び込んだインディは、クリスト・レモネード社と書かれた箱に詰められている密造酒を発見した。彼らはこれを手がかりにミシガン湖沿岸にまでたどり着き、倉庫に侵入すると、事務所へ押し入った。だが、彼らは何も発見できないうちに捕まってしまう。彼らは必死に逃走し、何とか逃げ切ったと思ったが、自動車がガス欠となって追い詰められれてしまう。3人は倉庫の所有者であるシカゴのアイルランド系マフィアの首領、ダイアン・オバニオンの前に連れ出された。しかし、彼はコロシモを殺したのは自分ではないと言い、誰が犯人なのか見当も付かないと言う。そして、オバニオンは彼らを釈放したのだった。
その夜の仕事で、トーリオは市長を含む顧客たちを接待していた。そこでインディは、コロシモの持っていた指輪の1つがアル・ブラウンの指にはめられているのを発見する。彼はエリオットとアーネットと会い、見たままを報告する。また、ニューヨーク・タイムズからはアーネットの求めた情報も届いていた。それによると、アル・ブラウンの正体はアルフォンス・カポネという名の三流ギャングで、殺人容疑のためニューヨークからシカゴへ逃れてきたというのだ。また、その中にはトーリオとカポネが一緒に写っている写真も含まれていた。さらに、エリオットは倉庫から逃げたときに数枚の紙を掴んできたことを打ち明け、そこに密造酒の注文者としてトーリオの名前があったことを告げる。彼らはコロシモ殺害の背後にトーリオとカポネがいることを確信し、これらの証拠をギャリティ警部に差し出すのだった。だが、警部は証拠を隠滅し、3人にこの事件に関することを厳しく口止めする。エリオットは怒り狂うが、彼らにできることは何もなかった。ギャリティは完全に買収されていたのである。
やがて、アーネットは記者の仕事でパリへと向かい、一方のインディもレストランの仕事を辞めてしまう。その後、インディがフォー・デュースで今後のことを考え込んでいると、シドニーは彼をブルースの演奏に誘うのだった。
インディが話を終えると、追跡者たちが突然山小屋に押し入ってきた。彼らはグレート・クラウドに銃を向け、パイプを奪い取る。だが、暴漢たちが立ち去ろうとしたとき、インディはサックスを吹いてかん高い音をだし、山小屋の張り出しの上にあった大量の雪を彼らの上に落下させた。インディとグレート・クラウドはパイプを取り戻すと、急いでその場を逃れるのだった。